上座さんありがとうございます | |
ネコマタ と バケネコ |
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SS 慕情 「ごめんね」 |
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バケネコとネコマタ〜余談〜 |
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ネコヤマ 今日はワルブルギスの夜です。ドイツでいうところの魔女の夜なのです。ドイツのブロッケン山に魔女が集まって集会をする。ブロッケン山といえば、ブロッケン現象で(光が背後からさしこみ、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、巨大な影を作る)おなじみの山です。二本でいう恐山とかそういう感じでいたんですが、実際はなだらかな山で電車や、マウンテンバイクで頂上までいけるそうです。
さて、そんな魔女の夜。出歩いているあなた、暗がりの中、道に迷ってしまいます。歩けど、歩けど一本道。前の方から聞こえてくるのは鳴き声。悲しげにすすり泣く声は聞いていると胸が張り裂けそうになります。しかしながら、道は一本。葬列の横を抜けなくてはなりません。 意を決してあなたは歩き出します。しかし、不思議と葬列は小さいままです。思ったより遠いのかと思うと側まで来ました。いいえ、葬列に並ぶもの達が小さいのにあなたは気づきます。 「王さまが亡くなられた」 「なんてことだ」 「いったいどうして」 小さな人々の嘆きをはき出す口には髭がまっすぐ生えています。あ、猫だ。そうあなたは気づきます。 しかし、騒ぐことなくあなたは静かに静かに葬列の横を抜け歩いて行きます。 どれだけ歩いたでしょう。あなたは見慣れた道を歩いています。 振り返ってもそこにはあの葬列の姿はありません。 家に帰ったあなたは、その事を家人に話します。 「昨日猫の王さまの葬列にあったよ」 途端にあなたの家の猫は起き上がります。 「次の王さまは僕だ」 そしてあなたはその猫に逢う事はありませんでした。 猫の妖精、ケット・シーにまつわる話です。彼らはどうも王がいるらしいのです。その交代はこのように人間の口からの伝聞となります。今回はこのように亡くなられたからこそですが、不祥もなく、王権が移行するのは、今日なのです。 家人が不意に帰ってきて、猫の話を始めたら、ちょっと黙らせましょう。もしかしたら、あなたの家の猫ちゃんが王様として招聘されたのかもしれませんから。
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